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HCL(人間中心照明)について

2024年6月26日

人間の生体リズムを整える照明


前回の投稿で少し触れました『人の生体リズムに寄り添う照明』は、一般的にサーカディアン照明(即ち、生体リズム=サーカディアンリズムを整える照明)と呼ばれています。サーカディアンリズムは、日本語で「概日リズム」と訳されますが、「サーカ」も「ディアン」も共にラテン語で、「サーカ」が「概ね」、「ディアン」が「1日」を意味し、直訳すると「概ね1日のリズム」となります。

朝日を浴びた時に気分がすっきりしたり、暗い部屋にいると眠くなったりするという感覚は、多くの方々が経験します。太陽光を浴びることで生体リズムを整えるという機能は、数百万年の人類の歴史を経て、現代の我々にも継承されていると考えられています。確かに朝日をたっぷり浴びて目を覚ますのは実に気持ちの良いもので、すっきりと目覚めた感じがしますよね。また、朝日を十分に浴びると、免疫力などの人間の活動レベルが上がり、幸せのホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌されます。逆に夜になると、それを原料としたメラトニンという睡眠ホルモンが生成されて、眠りやすくなるといわれています。現代人には最早難しいことですが、太陽が昇ると同時に活動し始めるというのは、きっと太古からの自然のリズムに合っているのでしょうね。英国の有名な看護師のフローレンス・ナイチンゲールは、自分の足で歩けるような入院患者は全員、朝の散歩に連れ出していたそうです。その方が病気や怪我の治癒力が増して、退院も早いことを経験的に知っていたのでしょう。

HCLの代表的なものがサーカディアン照明で、サーカディアン照明=HCLのように理解されています。現在、サーカディアン照明として市場に広まっているのは、朝から昼間にかけては活動しやすい白色光、夕方は心身をリラックスさせる電球色の光で空間を照らすという調色照明です。しかし、これだけでは生体リズムを整えるサーカディアン照明としては十分ではありません。実はホルモンの生成を通してすっきりした目覚めとスムーズな睡眠をもたらすのは、朝日に多く含まれている480nm付近の空色光なのですが、この波長はLEDの発光効率にあまり寄与しないことから、これまでのLED光にはほとんど含まれていませんでした。

本当に人の生体リズムに寄り添うには、この空色の光を多く含むLEDを開発する必要がありました。当社がサーカディアンリズムを整えることに特化して開発したVitasolis™は、従来の白色光(2700K~6500K)と全く同じ発光色でありながら、480nmの光を多く含んでいます。但し、午後の遅い時間にあまりこの光を浴びてしまうと、セロトニンの過剰分泌によりメラトニンの生成が遅くなり、眠りにくくなる可能性があります。そのため、昼間は6500KのVitasolis™、夕方からは480nmの光を含まない従来の2700K、あるいは色の変化があまり好まれないオフィスのような場所では、昼間はVitasolis™、夕方に近づくにしたがって同じ色温度の従来のLEDという風に、目的に応じた多様な組み合わせを提案しています。
また、Vitasolis™の特徴を更に追求し、調色・調スペクトルLEDとして商品化したDynasolis™は、空色と電球色を組み合わせたシステムです。一例として、空色の光とともに目覚め、午前中は480nmの光をたっぷり含む高色温度の光の下で過ごし、午後からは徐々に電球色にシフトしていくという、まるで太陽光の下で過ごしているような使い方も可能で、既に多くのお客様から高い評価を得ています。
当社は、Vitasolis™やDynasolis™のような、人間の生体に直接働きかけるLED照明がもっと世の中に広まり、人々の生活に役立つことを願っています。例えば、夜勤のため起きた時に太陽光を見られない方々、高緯度にお住まいで、季節によっては一日中太陽光を浴びることができない方々、その他の原因でなかなか生活リズムが作れずお困りの方々等にご使用いただくことで、皆様の生体リズムが整って、日々の生活により活力や幸せを得られる一助となれば幸いです。

当社は、より少ないエネルギーで明るく空間を照らすLEDだけでなく、人の健康や幸福感の維持・促進をサポートするLEDの開発にも取り組んでまいります。

次回は、ものの見え方を変えるLEDについてご紹介します。

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Vitasolis™
Dynasolis™