Hortisolis™
・植物育成に最適なスペクトル
・視認性、作業性に優れた光
製品の特徴
Hortisolis™とは
近年、地球規模での気候変動が大きな問題となる中、天候異常や自然災害の影響を受けずに年間を通じて安定かつ計画的に野菜や果物を生産できる植物工場が増えつつあります。当社は、長年つちかったLEDと蛍光体の技術を駆使し、上海に所有する植物工場での実証実験を通して、植物育成に最も適したLEDの開発に成功しました。それがHortisolis™です。
植物工場と照明
植物工場には、太陽光は全く使わずに人工光だけを利用する閉鎖型植物工場(図1・2)と、基本は太陽光を利用しながら補助的に人工光源を利用する太陽光利用型植物工場(図3)の二種類があります。閉鎖型植物工場とは、ビル等の閉鎖された空間で太陽光を使用せずに人工光のみで栽培する植物工場で、一方、太陽光利用型の植物工場は、温室などで太陽光の利用を基本としながら、合わせて温度管理や人工光源による補光などを行う植物工場です。いずれの場合も、太陽光が無償で得られるのに対し、人工光は、それを生み出す照明器具もエネルギーも有償であるため、植物成長に必要/不必要な波長を見極め、植物が本当に必要としている波長だけに集中させて、極力少ない照明器具数とエネルギーで、効率的に植物を育成できる光を作り出すことが重要です。
図1:典型的な従来型の閉鎖型植物工場
(紫色の照明が特徴)
図2:最近の閉鎖型植物工場
(白色光あるいは白色光+REDの照明が多い)
図3:典型的な太陽光利用型植物工場
当社の植物育成用LED Hortisolis™の特徴
Hortisolis™は、蛍光体の配合を工夫することによって、植物が成長に必要としている光だけを1パッケージに全て組み込むことで、最大限の効率で植物工場の面積当たりの生産効率を高めることを可能にすると同時に、植物工場における良好な作業環境も実現したLEDです。
植物のクロロフィルが吸収する波長が青色光と赤色光がメインであることから、従来は青と赤の光だけを発する紫色の蛍光灯やLED照明が、最もエネルギー効率の良い植物工場用照明として使われてきましたが、青と赤の2色だけの照明では、植物工場の作業者への刺激が強く、また植物の成長度合いが見極めにくい等の作業環境上の問題があり、最近は白色光+赤色光、或いはフルスペクトラムといった、太陽光に近い照明への関心が強まっています。
しかしながら、太陽光に近い白色光の中には、植物の成長に必ずしも必要でない波長も含まれており、エネルギー効率やコストなどを考えると、決して植物育成用LEDとして最適とは言えません。当社は、長年培ったLEDと蛍光体の技術を組み合わせることによってこの問題を解決すべく、上海に持つ閉鎖型植物工場で実証実験を繰り返し取り組んできましたが、植物育成に最適な光の組み合わせを追求していく中で、植物が、クリプトクロム(青色光)、フォトトロピン(青色光)、フィトクロム(赤色光・遠赤色光)といった3種の光受容体(図4)を持つことに着目し、かつ植物工場で働く人の作業性も考慮し、青色光と赤色光に更に遠赤色光と緑色光を加えたHortisolis™の開発に成功しました(図5)。
遠赤色光を加えたことの目的は植物の避陰反応効果(図6)を引き出すことです。植物は赤色光と遠赤色光の比率をモニターし、自分が他の植物の陰に入ってしまっていると判断すると、茎を伸ばすなどの応答を示してより良い光環境を得ようとします。この行動が避陰反応と呼ばれるものです。遠赤色光はクロロフィルには吸収されないので光合成には寄与しませんが、避陰反応効果を得られることで、植物の成長を促します。また緑色光を加えることの目的は、青色光と赤色光に緑色光を加えて白色に近い光にすることで、作業者への刺激を和らげ、更に植物や果実の成長度合いを視認しやすくすることです。
当社上海工場での実証実験の結果
例1 リーフレタスの育成試験:収穫重量が約1.5倍アップ
※1 PFD:photon flux density。単位時間に単位面積を通過する光量子の数を表します。
※2 自社光源比較
※3 観察期間1カ月後の収穫量
※4 収穫重量は設置条件により変化しますので、従来照明との同時比較データとお考え下さい。
例2 食用花ビオラの育成試験:収穫枚数が約1.4倍多い結果となりました
※1 PFD:photon flux density。単位時間に単位面積を通過する光量子の数を表します。
※2 自社光源比較
※3 観察期間2カ月間の収穫量
※4 収穫重量は設置条件により変化しますので、従来照明との同時比較データとお考え下さい。
例3 チェリートマトの育成試験:成長が早く収穫重量も2倍以上
※1 PFD:photon flux density。単位時間に単位面積を通過する光量子の数を表します。
※2 自社光源比較
※3 観察期間2カ月間の収穫量
※4 収穫重量は設置条件により変化しますので、従来照明との同時比較データとお考え下さい。
例4 チェリートマトの育成試験:成長度合いの識別が容易