2024年7月31日
人生がより豊かで快適なものとなるサポートをする照明
当社ブログの前シリーズ「演色性から見た照明光源の歴史」の最終回で、「光の質の追求~演色性を超えて」というやや大げさなタイトルで、高齢者の皆さんの生活が豊かで快適なものとなるサポートをする照明について紹介しました。この新しいLEDとその光は、当社が考える広義の「人間中心照明」を語る上で欠かせないものです。一部重複しますが、改めてご紹介します。
人生百年と言われる時代となって久しいですが、多くの方々が「老後の過ごし方」について悩んでいます。例えば長い人生の中で、若いころと、歳を取ってからとでは、見える色合いが異なるということが昨今の研究から分かってきていますが、その原因が目の中に存在する水晶体です。水晶体は、見ているものを目の奥の網膜に映し出すためのレンズの役割をしていますが、年齢を重ねるごとに黄ばんでくるため、見るもの全てが黄色がかり、コントラストがはっきりせず、ぼんやり見えてしまうと言われています。脳には補正機能が備わっているので、そこまで鮮明には意識されないかも知れませんが、ものがはっきり見えないことで、文字が読みづらく、食べ物も味気なく見えてしまいます。また、外部からの刺激を享受しにくくなることで、脳が活性化されずに老け込み、普段の生活に幸せを見いだせなくなってしまう懸念もあります。
当社は光を創る会社ですので、高齢の方々の生活を、「光」で少しでも豊かなものにすることができないだろうかと考えました。LEDは青色発光ダイオードと蛍光体から出力される光成分の組み合わせによって、さまざまな光を作り出します。この特徴を活かし、光の成分を最適化することで、「文字が読める」「食事が美味しそうに見える」といった感覚を実現し、長い人生の時間の中で少しでも幸せな瞬間を多く得られるような光を創り出せるのではないかと考えました。
そこで行き着いたのがクリアホワイト色LEDです。黄ばんだレンズのせいで黄色く見えてしまうのであれば、最初から黄色成分を減らした光を作ればいいのではないかという考えの下で、このLEDを開発しました。ところが黄色の光というのは、発光効率への寄与率が高いため、単純に黄色光を取り除いただけでは、ただの暗い光になってしまい、本末転倒です。そこで我々が取った方法は、最新の蛍光体技術を注入することで、発光効率の低下を最小限に留めながら、黄色成分の少ない光を創り出すことでした。
世界中のさまざまな人種の方々にクリアホワイト色LEDと通常の白色光を見比べていただいた結果、ほぼ全ての方から、『クリアホワイト色の方が明るく感じるし、文字や写真も文字通りクリアに見えて快適だ』という高評価を得ました。
当社は、より少ないエネルギーで明るく空間を照らすLEDだけでなく、人の健康や幸福感の維持・促進をサポートできるLEDの開発にも取り組んでまいります。
次回は、照らされる場所を清潔に保つことのできるLEDについてご紹介します。
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