TOP > LED > UV > 殺菌用UV-C LED(280nm)

殺菌用UV-C LED(280nm)

紫外線を用いた殺菌用途LED
高い出力と信頼性で
水銀ランプ代替へ貢献

なぜ日亜は「280nm」を選ぶのか

長年、殺菌用途では低圧水銀ランプが用いられてきました。水銀ランプの主波長に由来し、UV LEDへの置き換えが進む現在においても、「殺菌には紫外線のなかでも短波長が効果的である」という考え方が広く浸透しています。UV LEDの普及により波長の選択肢が広がる一方で、UV LEDを用いた殺菌に関する研究では、評価条件が研究ごとに異なり、波長ごとの殺菌効果を適切に比較することが難しいという課題がありました。
こうした背景のもと、当社は徳島大学との共同研究により、照射条件を厳密に揃えた標準評価装置を開発し、波長ごとの殺菌効果を検証しました。その結果、単に短波長であることが重要なのではなく、現時点では280nmのUV LEDが、殺菌効果と実用性の両面から優れていることが明らかになりました。
本ページでは、研究結果をもとに、UV LEDによる殺菌を検討する際に考慮すべき項目や実測データをご紹介します。これらの情報が、さまざまな殺菌分野における開発および製品化の一助となることを期待します。

紫外線(UV)LEDを用いた殺菌を検討する際に考慮すべきポイント

UV LEDを用いて十分な殺菌効果を得るためには、波長ごとの殺菌効果、UV LEDの特性や寿命など、考慮すべきことがいくつかあります。
それらを正しく理解し評価することで、最大の殺菌効果を得ることができます。
以下では、3つのポイントに絞って、順番に説明していきます。

動画1 紫外線 (UV) LEDを用いた殺菌を検討する際に必要なこと

(1) 適切なUV感受性データを参照できているか?

UV LEDを用いて殺菌効果を得るには、対象の微生物について必要な積算光量を知る必要がありますが、現状は研究毎にUV照射条件が異なるため、条件を合わせた評価ができていませんでした。当社が開発したUV LED照射装置はUV照射条件を統一し、精度の高いUV感受性評価を可能にしました。(照射装置の詳細は以下リンク先のプレスリリースをご参照下さい。)

図1:紫外線(UV)感受性評価のためのLED照射装置の開発

徳島大学との共同研究講座「微生物防除研究分野(高橋章教授)」でこの装置を用いて各微生物に波長毎のUV感受性評価を行った結果、全体として、一般的に用いられている殺菌効果曲線JIS Z8811-1968よりも長波寄りにピークがあることが明らかになりました。またUV感受性は微生物毎に異なっており、殺菌対象に応じたデータを参照することの重要性が確認できました。

実験データ参照はこちら

図2:各微生物に対する波長毎のUV感受性評価結果(徳島大学との共同研究講座にて)

(2) 波長別のLEDの出力を考慮できているか?

実際の殺菌効果は、波長別の殺菌効果だけではなく、波長別のLEDの出力*2を掛け合わせることで決まります。それは「殺菌パワー」と呼ばれ、殺菌効果を示す最も重要な指標です。
UV-C LEDは短波長になるほど出力*1が得にくい特性があるため、全体的に殺菌パワーは波長別殺菌効果よりも長波寄りでピークになっていることが分かります。

図3:殺菌パワーの算出方法

(3) LED寿命を考慮できているか?

LEDには寿命があり、使用時間とともに出力は下がっていきます。そのため、波長別殺菌効果にLEDの出力を掛け合わせた殺菌パワーは使用時間とともに下がっていくことになります。LEDの寿命は波長によって異なりますが、特にUV-C LEDは短波長ほど出力*1の低下率は大きくなります。当社はLED寿命(出力維持率)を考慮し、280nmが最適だと考えています。対象製品の一覧は、以下からご確認ください。

動画2:時間経過と共に低下する殺菌パワー


*1出力:放射束のこと。単位時間当たりのエネルギーの強さ。
*2波長別のLEDの出力:2023年7月時点、自社調べ、市場で手に入れられる一般のLEDの出力を元にモデル化

実験データによる殺菌効果の検証

本研究により明らかになった、波長280nm LEDにおける真菌、細菌、各種ウイルスの不活化に必要な積算光量を以下に示します。

微生物区分 一般名称 学名 和名 不活化率ごとのUV量
(mJ/cm2)
90% 99% 99.9%
真菌*3 Yeast Rhodotorula
mucilaginosa

NBRC114835
酵母 63 84 100
Mold Cladosporium
Halotolerans

NBRC113481
黒カビ(熟成胞子) 820 1450 2250
Cladosporium
sphaerospermum

NBRC6348
黒カビ(熟成胞子) 57 88 149
Penicillium
roqueforti

NBRC5459
青カビ 37 61 105
Aspergillus
brasiliensis

NBRC9455
黒コウジカビ 98 180 400
Botrytis cinerea
Persoon

ATCC46522​​
灰色カビ 104 128 187
細菌*4 Bacteria Escherichia coli
ATCC25922
大腸菌 4.5 6.4 7.7
Staphylococcus
aureus

ATCC29213
黄色ブドウ球菌 4.2 5.4 6.6
Vibrio
parahaemolyticus

RIMD2210633
腸炎ビブリオ 1.2 2.5 3.8
Enterococcus
faecalis

ATCC7080
腸球菌 7.5 10 11.4
Pseudomonas
aeruginosa

PAO-1 strain
緑膿菌 1.8 3 4.4
Salmonella
enterica
Enteritidis

171 strain
サルモネラ菌 3 4.8 6.5
Legionella
pneumophila

ATCC33152
レジオネラ菌 3 4.5 6.2
Campylobacter
jejuni

NCTC11168
カンピロバクター 2.1 3.7 5.2
Lactobacillus
plantarum

ATCC8014
乳酸菌 5.7 8.1 10.1
Bacillus subtilis
IFO3134
(trophozoite)
枯草菌(栄養体) 4.5 6.7 8.3
Bacillus subtilis
IFO3134 (spore)
枯草菌(芽胞体) 36 48 61
ウイルス*5 Virus Influenza A virus
H1N1 subtype
PR8 strain
A型インフルエンザウイルス 2 5 9.4
Herpes simplex
virus
KOS strain
単純ヘルペスウイルス 5 12 19
Human
coronavirus
OC43 strain
ヒトコロナウイルス 2.7 5.2 7.7
Human
coronavirus
229E strain
ヒトコロナウイルス 3 5 9.7
Feline calicivirus
F9 strain
ネコカリシウイルス 8.8 20.6 30
Human
adenovirus 5
strain
アデノウイルス 30 56
Human
respiratory
syncytial virus
strain Long
RSウイルス 1.6 2.6 3.9
Human
respiratory
syncytial virus
strain 18537
RSウイルス 1.7 3.1 4.6
Influenza A virus
H5N1 subtype
高病原性鳥インフルエンザ 3.5 7.7 12.6
Human metapneumovirus
strain TN/83-1211
ヒトメタニューモウイルス 3.8 5.4 7.1
Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 新型コロナウイルス 2.5 5.4 7.6
Escherichia coli phage
MS2 NBRC102619
MS2ファージ 23.9 48.2
*3 真菌に関する論文全文はこちらから
*4 細菌に関する論文全文はこちらから
*5 ウイルスに関する論文(論文1論文2

Q:紫外線による殺菌とは

細菌は細胞分裂によって増殖するのに対し、ウイルスは生物の細胞に入り込み、宿主の機能を利用して増殖することが知られています。
いずれの場合においても、増殖は細菌やウイルスが持つDNAやRNAの情報を元にして行われますが、紫外線照射はそのDNAやRNAの構造を変形させる効果があります。
DNAやRNAの構造に異常が生じると、代謝能力や増殖能力に支障をきたすため、細菌やウイルスの不活化が可能になるというメカニズムです。

動画3 紫外線による不活化のメカニズム

対象製品

お問い合わせ

NICHIAの殺菌用UV-C LEDに関するご質問・ご相談は、こちらよりお気軽にお問合せください。

お問い合わせ