2023年11月1日
技術進歩によって急速に脱水銀に向かう世界
2023年2月にスタートした「脱水銀社会実現に向けた当社の取り組み」の投稿ですが、1年近くにわたって様々な分野でのLED/LDによる水銀ランプの置き換えの事例をご紹介してまいりました。蛍光灯から始まって、街路灯やグリーンハウスの照明に使われる高圧ナトリウムランプ、殺菌用途に使われる低圧水銀ランプ、半導体や液晶ディスプレイ、プリント基板(PCB)などの露光に使われるショートアーク水銀ランプ、塗料硬化に使われる高圧水銀ランプ、高出力のプロジェクターに使われる超高圧水銀ランプなど、現代社会の様々な分野で水銀ランプが使われていることを再認識して驚かれたのではないかと思いますが、同時に、新しい技術であるLED/LDなどの固体光源が水銀フリーの有効な代替技術として現れて来ていることも実感頂いたのではないかと思います。
LEDもLDも、まだまだ成長、進化の途上にある新しい技術です。現在のRoHS指令の適用除外が検討され始めた2015/2016年ごろには代替技術としては不十分だったものも、それから7-8年が経過した現在では大きく進化して多くの分野、用途で十分使えるものになり、更には電力変換効率の良さから、脱水銀だけでなくカーボンニュートラル社会の実現にも大きく貢献するものになってきています。今後も更なる進化・発展を続け現代社会に無くてはならない技術になって行くことが期待されます。また、新しい技術が現れると、その影響を受けて周辺でも新しい技術・製品が出てくるということも、様々な分野でLED化、LD化に取り組んでいる私どもが、日々感じているところでもあります。例えば塗料の硬化では、今まで長年にわたって水銀ランプの出力、波長に合うように最適化されてきた各種塗料が、UV-LEDの実用化と水銀ランプへの置き換えの進展を受けて、UV-LEDの出力、波長に合わせたものも出て来るようになり、UV-LEDの特性改善、波長展開と上手く組み合わさって硬化に要する時間の一層の短縮や、投入電力量の大幅な削減につながりました。これは一つの例ですが、技術の進歩は周辺を巻き込みながら加速していくものであることを改めて実感いたします。
現在の適用除外の多くが見直しの期限を迎える2027年には、周辺技術も含めて更にどれだけの進化を目にすることができるか、更にどれだけの用途で水銀ランプからの置き換えが実現しているか、想像するだけで楽しくなってくる思いがします。もちろん、私ども日亜化学工業は、LED/LDの技術進歩を牽引する立場として、脱水銀社会の実現に大きな責任を負っていることは忘れてはいません。私どもは、2027年をもって水銀含有に関する全ての適用除外が無くなることを目指して全力を尽くして取り組んでまいりますので、引き続いてのご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
脱水銀社会実現に向けた当社の取り組みをテーマとするブログは、今回をもって、一旦、中休みとさせて頂きます。毎月の連載という形は中断いたしますが、LED化、LD化の新たな事例については、このスペースにおいて、その都度ご紹介させて頂きます。引き続きよろしくお願いいたします。