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脱水銀社会実現に向けた当社の取り組み

2023年4月26日

高圧ナトリウムランプの代替技術


大半の蛍光灯が規制対象となった今、水銀を含有する一般照明用光源でRoHS指令の適用除外となっている最大のものは、項目4(c)に分類されている街路灯用途および、4(f)に分類されている園芸用途の高圧ナトリウムランプです。これらも、代替技術が存在しないということで少なくとも2027年2月24日までは適用除外とされていますが、近年のLEDの目覚ましい発展によって既に経済面も含めて代替技術のハードルは消えており、これ以上の適用除外の延長は必要ないというのが当社の見解です。以下に、街路灯、園芸、それぞれの用途に分けて、LEDによる代替の現状と今後の可能性について考えてみたいと思います。

街路灯用途の高圧ナトリウムランプ

衛星写真を見るとよく分かりますが、世界で一番多く使われている屋外照明光源は、灯火色の高圧ナトリウムランプです。欧州の、中世の雰囲気を残す石畳の街を照らす街路灯、コンテナヤードの照明など、灯火色に見える照明の大半は高圧ナトリウムランプです。照明のLED化が急速に進み蛍光灯や白熱電球などの従来光源の大半がLEDに置き換わる中で、高圧ナトリウムランプが今でもこれだけ使われているのは、高圧ナトリウムランプが、従来光源の中では比較的優れた効率と寿命を持つことによるものです。ただそうは言っても急速に技術的進化を続けるLEDには勝てず、特に新設の道路灯を中心に急速なLED化が進んでいます。その一方で、古い住宅街の公園や路地の街路灯などの身近な場所では、長年慣れ親しみ、ノスタルジックな雰囲気さえ醸す高圧ナトリウムランプの灯火色を、LEDの青白い光で置き換えることに対する根強い反発もあったり、最近になって、LEDの青白い光による、いわゆる「光害」が注目を浴びるようになりLEDの導入にブレーキがかかったりと、この分野でのLED化は一進一退の状況です。そのような状況を一変させLED化を一気に加速させる(すなわち脱水銀)可能性を秘めているのが、当社が2021年に発表した「ナトリウム灯色LED」で、高圧ナトリウムランプと比較して以下のような特徴を持っています。

  • 水銀を含有しない。
  • 高圧ナトリウムランプをしのぐ効率。
  • 瞬時On/Offが可能で、センサーと連動させてのスマートライティングが実現可能。それによって、効率の良さに加えて更なる省エネ、カーボンニュートラルに貢献。(高圧ナトリウムランプは数分かけて徐々に明るくなるため、スマートライティングは実現不可能)
  • 高圧ナトリウムランプと全く同じ発光色で、慣れ親しんだ街の雰囲気を壊さない。
  • Ra≥70の高い演色性によって、高圧ナトリウムランプではほとんど色の識別ができなかった街を、カラフルで安全なものに変える。
  • 高色温度のLEDで問題となっていた人間、動植物、星空、自然環境に対する「光害」を大幅に低減。
  • 高圧ナトリウムランプの2.5倍の長寿命で、高所での取り換えの危険な作業の頻度を減少させ、そのことがコスト削減にもつながる。

「ナトリウム灯色LED」は、発表以来、その優れた「光の質」に加え、脱光害、脱水銀、脱炭素、省エネなどの観点からも、照明器具メーカーだけでなく各地の地方自治体、政府機関、IDA(International Dark Sky Association)他のNGOなどからの注目を集め、実際の設置も始まっています。街路灯用途の高圧ナトリウムランプについては、脱水銀はもちろん幅広くサステナブル社会の実現に貢献する代替技術が、既に実現し検証済みであると、胸を張ってお伝えしたいと思います。

園芸用途の高圧ナトリウムランプ

ビルの中など屋内の密閉空間で野菜や果物を栽培するいわゆる閉鎖型植物工場では、既にほとんど全ての照明がLED化されていますが、主に太陽光を利用して、曇りの日や夕方、夜間などの「補光」に人工照明を利用するグリーンハウスでは、今でも多くの高圧ナトリウムランプが使われています。これも、高圧ナトリウムランプが従来光源の中では比較的優れた効率と寿命を持っていることによるもので、電源他も含めて既存の設備をLED照明に付け替えるには、未だ少々高めの経済的ハードルが存在するようですが、近年、新設のグリーンハウスでは、ほとんどの場合LEDが使われています。最近では、効率も寿命もLEDのそれが高圧ナトリウムランプに勝っていますし、LEDは、高圧ナトリウムランプでは不可能な植物の栽培に適した色調、スペクトルの調整が可能なためです。LEDを利用すれば、収穫量を増やしたり生育を早め収穫時期を早めたりするだけでなく、将来的には野菜や果物の味や栄養価の改良も可能だと考えられています。また高圧ナトリウムランプは熱放射が多いため、空調コストがかさんだり作物との距離を取らなければならないために設備が大規模になったりというデメリットがあり、この点でもLEDには大きな利点があります。これらのLEDが持つ様々なメリットのため、新設の場合にはLEDというのが当たり前になってきているのです。
この分野はまだまだ日進月歩で、Blue/Redの組み合わせ、白色、白色とRedなど、市場には様々なLEDが登場していますが、当社では、自社が持つ植物工場での実証実験を繰り返すことによってたどりついた植物の生育に最適なスペクトルのLEDとして「Hortisolis™」を上市し、高いご評価を頂いております。なにぶん日進月歩の世界ですので、当社の「Hortisolis™」が今後も「最適」の地位を保持できるのか、あるいは別のもっと良いものが登場してくるのかは分かりませんが、少なくともはっきり言えるのは、既にLEDが、高圧ナトリウムランプの優れた代替技術としてその地位を確立済みであるということかと思います。

このように、今でも幅広く使われている一般照明用の高圧ナトリウムランプですが、既にLEDが経済面も含めて利用可能な代替技術としての地位を確立しています。今後もLEDの導入がどんどん進み、RoHSの適用除外も2027年2月24日をもって終了して、一般照明分野での脱水銀の流れが確かなものとなるように、当社も一層の努力をしてまいります。

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