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演色性から見た照明用光源の歴史

2024年2月7日

特殊照明に求められる演色性


第一回では全体照明について書きましたが、今回は、より高い演色性が求められる特殊照明について述べます。

高い演色性が求められる用途としては、印刷用照明、塗装用照明、染色用照明、写真用照明、色検査用照明、化粧鏡用照明、画廊・美術館・博物館用照明、服飾用照明、装飾品用照明、病院用照明、学校用照明などがあり、用途に応じて様々な種類の高演色ランプが使われています。

白熱電球やハロゲン電球は元々Ra100なのですが、色温度が2700Kと低く用途が限定されてしまうため、高色温度で高演色が要求される用途には、演色AA、演色AAAと呼ばれる、ブロードなスペクトルを持つ蛍光体を組み合わせてスペクトルを調整した高演色蛍光灯が使われてきました。

表1 広帯域発光形蛍光ランプの演色性の最低値



最も忠実な色再現が求められるのは、印刷用、塗装用、染色用、色検査用、美術・博物館用などのいわゆるプロフェッショナル用の照明で、Ra100近い超高演色が要求され、演色AAAという蛍光灯が使われていました。また比較的高演色が求められるデパートや洋品店の全体照明などの用途には、演色AAという蛍光灯が使われていました。

昨年(2023年)の10月30日から11月3日に、スイスのジュネーブにおいて、水銀の使用や輸出入を国際的に規制する「水俣条約」の第5回締約国会議が開かれ、2027年末までに直管蛍光灯の製造と輸出入を禁止することで合意されました。これによって蛍光灯のLED化が更に進むことが予想されますが、既に、過去10数年間の急激なLED化を受けて、高い演色性が求められる特殊用途照明においても、蛍光灯だけでなくLEDの規格化も進んでいます。 例えばJIS Z 9112:2019では、演色性の最低値が下表のように区分されています。普通形は主に屋外用に、クラス1はオフィスや住宅、クラス2はオフィスや住宅で特にコミュニケーションを重視したシーンや、店舗、検査、医療用に、クラス3は美術館・博物館用に、クラス4は色検査、塗装、染色、印刷用にというように、各クラスに求められる演色性の値が規定され、具体的な推奨される用途が記載されています。

表2 LEDの演色性の最低値



当社では、クラス4対応のOptisolis™、クラス3対応のR95、クラス2対応のH6シリーズ(第一回で紹介)、クラス1対応のR8000およびH5、普通形対応のR70等、用途に応じて様々な演色性のLEDをラインアップしています。

中でも特筆すべきはOptisolis™でしょうか。究極の高演色LEDを追求した結果、初めて1パッケージのLEDでRa99を実現し、印刷用、色検査用などのクラス4に規定された用途だけでなく、ほぼ自然光と同じ光のLEDとして、多くの美術館・博物館にもご採用いただいています。

このように、当社では、蛍光灯の時代から半世紀以上の長きにわたって培った蛍光体の技術を青色LED、白色LEDの技術と組み合わせ、使用目的に沿ってそれぞれの用途に最適な光が提供できるように、演色性を重視した様々なLEDを開発・製造しています。

当社はこれからも、LEDのトップメーカーとして、光の質にこだわったLED製品の開発に努力してまいります。

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