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高輝度青色LED発売30周年

2023年10月11日

青色LED+蛍光体=白色LEDの誕生


青色LED発売開始から数年が経過し、前回の投稿でご紹介した3つの用途(信号・ディスプレイ・スキャナー光源)へのLED採用が進んでおりましたが、主に屋外に使用されておりました大型映像装置が、スタジアムで使われるような大型のものから、ビルに設置するような広告用の小型・高精細のものまで拡がりを見せ、次は屋内用途が視野に入ってきました。

屋内用途の場合、見る人からスクリーンまでの距離が近いため、画像がざらついて見えない様に、LEDのピッチ(各LED間の距離)を狭くし、画像の精細度を屋外用途のものよりも上げないといけません。しかし、当時のLEDは青・緑・赤1色ごとにパッケージ化されており、3つのパッケージを1つのドットとして納めねばならないために、どうしてもLEDを実装するスペースが広くなってしまい画像の精細度を上げることができませんでした。これを克服するべく、3色のLEDチップが1つのパッケージに搭載された当社初の3-in-1 LEDが開発・上市されました。

図1:当社初のフルカラー3-in-1 LED NSTM515S(3色発光のため脚が4本ある)

この3-in-1 LEDですが、当初想定していた大型表示装置を開発・製造するメーカーではないお客様からのお問い合わせ、ご注文が多く、また、用途も、フルカラー表示で使うのだろうと想定していたところ、どうも特定の色を表示させたいというお話が多く、色を制御し変化させる用途では使用されていないというのが分かってきました。この時ご要望が多かった色が、いわゆる「白色」です。光の三原色を混ぜれば白色を作り出すことが可能であるためです。

その声を基に、当時の主力事業であった蛍光体の活用が発案され、数ある蛍光体の中から選ばれたYAG蛍光体と青色LEDを組み合わせた「白色LED」に繋がり、1996年に商品化されました。今日、青色LEDのチップの使用先として最も多いのは、この青色LEDに蛍光体を組合わせた白色LEDです。白色LEDの具体的な用途や市場の拡大につきましては、次月にさせて頂きます。

図2:世界初の白色LED 「NSPW310AS」の製品案内(1996年)

Note: NSTM515S、NSPW310ASは当社型番です。