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演色性から見た照明用光源の歴史

2024年4月10日

光の質の追求~演色性を超えて


「演色性から見た照明用光源の歴史」というテーマで2024年1月から3回の投稿をしてまいりましたが、今回の第4回をもってシリーズ完結となります。ともすれば光束、効率最優先になりがちな照明用光源の世界で、演色性も光束や発光効率に劣らず大事な要素であることをお分かりいただきたく拙い文章を連ねてまいりましたが、蛍光灯の時代から半世紀以上の長きにわたり「光」に関わってきた当社の思いの一端をご理解いただければ幸いです。

さて最終回です。ここまでの3回、「演色性」を中心に述べてまいりましたが、当社が目指しているところは、前回の投稿の最後に書かせていただいた「光によって人々の生活をより豊かなものにすること」で、そのために「光の質」を追求しています。「光の質」の追求には、もちろん演色性が非常に重要なのですが、それに加えて色度、スペクトルなども大きな影響を与えます。最終回では、「光の質」追求についての現時点での当社の最新の取り組み例として、人口の約3割を占める高齢者の方々のために開発したクリアホワイト色LEDについてご紹介させていただきます。

人は歳を重ねるにつれてだんだんモノが黄ばんで見えるようになってきます。これは年齢とともに目の水晶体が黄変化することによるのですが、新聞や雑誌、文庫本等が読み難くなってくるのもこれが原因です。一方で医療の発達により平均寿命はどんどん延びているので、このような加齢に伴う不自由さをかかえて生活する時間は益々長くなってきています。また、高齢になるとともに、屋外でアクティブに動く時間は減り、屋内で過ごす時間が増えてきますので、この問題はますます無視できないものになります。クリアホワイト色LEDは、その時間をより快適に過ごしていただくことをサポートできるような照明として開発されました。

このLEDは、水晶体の黄変による色の見え難さを補完しクリアな色味を実現します。技術的には、通常の白色光から黄色発光部分を低減させた光なのですが、従来技術のままでこのようなスペクトル補正を行うと、光束が20%以上も下がってしまうため、逆にモノが見え難くなってしまいます。当社のクリアホワイト色LEDは第1回投稿でご紹介したH6シリーズの技術を導入することにより、色温度を6500Kから7800Kまで上げ、演色性をRa80からRa90まで上げつつ、光束低下は約5%に抑えています。また実際には、光束が5%低いにも関わらず、ほぼ全ての高齢者の方が、白さが際立ってコントラストが良く演色性の高いクリアホワイト色の方が通常の白色より遥かに明るく感じる、と答えられます。屋内で多くの時間を過ごされる高齢者の方々に、まわりの世界を明るく感じていただき、料理が色鮮やかに見えることによって食べる喜びもより一層感じていただき、新聞、雑誌、文庫本などが読みやすくなることによって知的な喜びも感じていただく。クリアホワイト色LEDは、高齢者の方々の快適で生き生きとした生活をサポートするという、今までに無かった新しい次元の光を実現したLEDです。

クリアホワイト色LEDは一例にすぎません。光源の世界において、光束は、もちろん光を評価する重要な1因子なのですが、当社は、光束だけで光の優劣が決まるのではなく、演色性、色度、スペクトル等が、使われる目的に最も合った光こそが本当に上質な光であると考え、日々、新しい光の開発に取り組んでおります。

当社は、これからもLEDのトップメーカーとして、「光」によって人々の生活をより豊かなものにできるよう努力してまいります。

クリアホワイト色(7800K/Ra90)(左)と 通常の白色(6500K/Ra80)(右)



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