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脱水銀社会実現に向けた当社の取り組み

2023年2月24日

「脱水銀」に向かう世界


本日2023年2月24日をもって、欧州において、水銀を含有していながら代替技術が無いことからRoHS指令の適用除外品目として製造、販売が認められていた大部分のタイプの蛍光灯が、製造、販売禁止となります。今回の対象でないものも、今後段階的に規制対象となり、一部の特殊用途を除く一般的な蛍光灯は近い将来には市場から姿を消すこととなります。
RoHS指令と並んで水銀撤廃に向けての代表的な取り組みである水俣条約でも、一般的な蛍光灯は、既に日本をはじめとする大部分の国で製造、販売が禁止されています。今回のRoHS指令における大きな動きをもって、過去一世紀近くにわたって主要な照明光源であった蛍光灯は、その歴史的な役割を終えると言っても過言ではありません。世界的な「脱水銀」の流れの中でもエポックメーキング的な出来事と言えるかと思います。

当社は1956年の創業以来、そのほとんどの時期において蛍光灯と深くかかわってまいりました。特にLEDが主力事業となる21世紀初頭までは、蛍光灯用蛍光体の事業が、まさに当社の主力事業でありました。その後約20年間で、蛍光灯はその照明光源としての役割をLEDに譲って姿を消しつつあるわけですが、当社はそのダイナミックなテクノロジーシフトを、まさにその渦中でつぶさに見てまいりました。というよりも、それまで世の中になかった高輝度青色LED、白色LEDを開発して世に送り出し、驚異的な特性・効率アップを実現することで照明光源のLED化の流れを作り、主力事業の蛍光体がよって立つ蛍光灯が市場から退場せざるを得ない状況を自ら作ってきたのです。
当社としては、時代の変化の中でリスクも取りながら事業転換を成し遂げようとした訳ですが、同時に、その根底には長年化学メーカーとして抱いてきた「環境」、そして「脱水銀」への強い思いがありました。いよいよ蛍光灯が市場から姿を消す今回の動きには一抹の寂しさも覚えますが、長年目指してきた「脱水銀」への大きなマイルストーンの達成に大きな喜びを感じています。

蛍光灯の社内信頼性試験の様子

蛍光灯が姿を消すことになっても、世の中には水や空気の殺菌に使われているいわゆる殺菌灯、古い街並みや園芸用グリーンハウスを照らす高圧ナトリウムランプなど、水銀を含有する照明器具、光源がまだまだたくさん存在します。当社は、長年培ってきた照明用白色LEDだけでなく、UV-LEDやレーザーダイオードの技術も総動員し、それらの光源について水銀を使わずにすむ代替技術を開発、提供し、脱水銀の動きを加速させることが私どもの使命であると考え、様々な商品開発にも取り組んでおります。来月以降この場所において、脱水銀に貢献できる代替技術になりうる各種製品について順次ご紹介してまいります。
なお、脱水銀への取り組みとしては欧州のRoHS指令の他に水俣条約もよく知られておりますが、現在、例外的に製造、販売が認められている水銀含有のランプについては、RoHS指令の方が水俣条約よりも一段厳しい「深掘り規制」として位置付けられているため、当社では、RoHS指令の適用除外品目がLED、もしくはレーザーダイオードで代替できるかどうかにポイントを絞ってご説明してまいります。